ブログ小説 ーユメコイー

第一章 私は目覚める  -1-

 私は目覚める。

 別に、妙な力や心理に目覚めたわけではない。

 朝の眠りから覚めるように、目覚めたのだ。

 ただ、気分爽快というものには程遠い。

 はっきり言えば対極にあたる、最悪な目覚めだった。

 身体が硬い。

 動かそうとすると崩れてしまう石像のように、全身が硬い。

 ゆっくり、しかし出来るだけ早く、感覚を全身に張り巡らす。

 心を張りつめ、

 少しずつ感覚が戻ってくる。



 身体がほぐれるように硬さが消え、少しずつ柔らかくなっていくのが分かる。

 それと同時に、音が聞こえ始める。

 鳥の鳴き声、風の音、木々のざわめき、そして火のはぜる音。

 それらの音を聞き、ゆっくり、息を吐きながら瞼を開ける。

 瞼が開く。

 光が飛び込んできて、うっ、と声が漏れる。

 少しの間、光で視界が一杯になる。





 眩しい。

 そう感じてまた瞼を閉じた。

 今度はぎゅっと、強く。

 瞼を閉じていても人間と言うのは光を感知できる。

 瞼を閉じた事による擬似的な闇の中に、強烈な光を感じながらそんな事が

 ふと頭によぎった。

 


 時計の針の音が聞こえる。

 聞こえる音はカチッ、カチッとリズム良く時を刻んでいる時計の音だけ。

 他には何も聞こえず、誰もいないようだった。

 強烈すぎると感じた光も今は暖かな温もりの提供者になっている。

 ゆっくりと目を開ける。

 さっきと同じように、強い光が瞳の中に飛び込んでくる。

 だがさっきとは少し違い、そこまできついものではなかった。

 眩しさの中から、光以外のものが段々と浮かんでくる。

 


 目に入ってくるのは、木で作られた天井。

 そして吊り下げられた、ランプ。

 ここは、どこだろうか。

 起き上がろうとしたが、身体が重い。

 仕方なく、目だけで状況の確認をする。

 視線を周りに向ける。

 さっき確認した天井、それと壁、床、それら全てが木で出来ているらしい。

 自分の寝ているベッドは、白一色。

 一見してふかふかで、とても寝心地が良さそうなベッドだ。

 寝心地は良さそうだけれど、この身体はまるで床で直に寝たような

 そんな違和感がある。

 そしてこのベッドを挟むように、左右に同じタイプのべッドが置かれている。

 が、今はどちらも空だ。

 身体の節々が未だに硬くて、重たい。

 ゆっくりと腕を持ち上げてみる。

 どうやら自分の腕らしいそれは、か細く、色白い。

 その頼りなさそうな腕の先に、小さな手が見える。

 ぐっ、と握ってみる。

 しかし握れない。

 目に映るのは、小刻みに震えながら

 それでもなんとか指を動かそうとする、小さな手。

 何度か試していると、初めは握る事すらままならなかった手は

 次第にしっかりとした動きへと変わり、力を込めて握れるようになった。

 目を見張るその動きの変化に、多少の驚きと戸惑いが生まれる。

 「目を覚まされましたか?」

 急に掛かる声に、ピクッ、と身体が反応する。

 持ち上げていた手が、そこで止まる。

 声のした方にゆっくりと顔を向けると、男の人が一人

 こちらを覗き込むようにして見ていた。
[PR]
by kioku-tobira | 2006-04-13 01:19 | 第一章 私は目覚める
<< 私は目覚める  -2- 序章 私は失った。 >>



何をするにもまったりな管理人が描く、よく分からない小説です(。・ω・。)ぅぷぷ
カテゴリ
全体
管理人からお知らせ
序章 私は失った。
第一章 私は目覚める
未分類
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
ブログ小説  -片翼の双天-  管理人のもう一つのブログ小説デス

☆今まで と これから☆ 管理人の日常を綴った日記デス

VAGRANCY(音楽素材デス)

最新のトラックバック
gwmjgij1
from gwmjgij1
恋愛を成功させるおまじな..
from 【おまじない・お守りくらぶ】..
新作の時計やブランド時計..
from 時計カテゴリー:ファッション..
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧