ブログ小説 ーユメコイー

私は目覚める  -2-


人の良さそうな微笑を浮かべている。

看護師・・・?

ベッドが3つ?

腕、こんなに細かったっけ?

身体が重い

なに?

誰だ?

木・・・、山小屋?

これは・・・

意識が渦巻く。

最悪の目覚めから来るものもあって、まるで頭が働かない。

疑問は混乱を呼ぶばかりだ。

「───気分はどうですか?」

男の人が心配そうな顔で覗き込んでくる。

私はよほど難しい顔でもしていたのか、と内心苦笑する。

ひとまず口を開いてみる。

ぎこちない動きと共に、ゆっくりと口が開いた。

喉を震わせ、風を送り、声を絞るように出す、はずだった。

「あぁ・・・ぅ・・・」

出てきたのは赤ちゃんのような声。

そんな声に驚き、口を慌ててつぐむ。

どの動作をとっても動きがまだ硬く、いまだに思うように動かなかった。

「あぁ、無理に喋らなくても良いですよ。」

柔らかい声だな、と思う。

人を安心させる優しさが、その発せられる言葉の一つ一つから届く。

「貴女はまだ寝ていたほうが良いようですね。」

届くが、内容は理解できなかった。

やはりというか、まだ頭は眠っているようだ。

「心身共に完全には目覚めていないようですし。」

自然な動きで瞼が下りてくる。

目を閉じ、擬似的な闇が形成され、意識が沈む。

「─────。」

誰かが何か言ったような気がしたけれど、何も聞こえなかった。

私は深い眠りに落ちていた。







 声が聞こえた。

 私を呼ぶ声。

 私が呼ぶ声。

 いたるところで声は響いて、身体に浸透してくる。

 なんだか、心地いい。

 漂うように、音に身体を預ける。

 身体はなんともいえない浮遊感の中で、どこまでも広がっていくように感じて、

 それと同時に、感覚が鋭くなってくる。

 暗く、昏く、どこまでも広く、どこまでも深く。

 『ここ』は広かった。

 とてつもなく、広かった。

 私の意識はとんでもなく広がっているのに、それでも尚、果ては見えない。

 音は水となり私を潤し、

 音は光となり私を照らし、

 音は風となり私に吹きつけ、

 音は大地となり私の存在を確固たるモノとする。

 音はこの世界の全て。

 なのに・・・

 声はいつの間にか響きを止めて、弱々しく、たどたどしく、

 ある一点からだけ聞こえてくる。

 私は、声に惹かれるようにそこへ飛び始める。

 いや、『飛び始める』というのは少し違った感じ。

 意識を向けると言った方が適切かもしれない。

 そして、声に近づく。

 近づいて、そして手を差し伸べ────・・・




 そうして私は、また目覚める。
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by kioku-tobira | 2006-06-18 23:24 | 第一章 私は目覚める
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