ブログ小説 ーユメコイー

私は目覚める  -3-


  2月25日
 散策中、不思議な少女を発見した。

 彼女は、森深くに倒れていた。 

 彼女の身を包んでいた薄手の青白い服。

 上から下までつながっていて、ワンピースのような形状だった。
 
 年齢12~15歳

 身長約130cm

 比較的痩せ型で、髪は腰あたりまで伸ばしている。

 外傷は特に無し。

 ただし、あちこちに打ち身や打撲らしき跡がついている。

 脈拍は正常値より多少下回っているものの、問題というレベルではないだろう。

 簡単な診察をしてみた結果としては、特に異常も見られない。

 行き倒れかどうかとも思ったが、そう決めるのはまだ早計だろう。

 しばらくは、様子見が必要そうだ。

 なぜ倒れていたのか、色々と不思議な点がいくつかあるが、どれも彼女が目覚めなければ分
からないことだ。

 彼女が目覚めたら、聞いてみる必要がある。




────。






 息を呑む音が聞こえた。

 身体中が優しい光に包まれているのが分かる。

 目を、そっと開ける。

 飛び込む空、果ての見えない草の絨毯、空のあちらこちらに浮かぶ雲。

 「───っ。」

 また、息を呑む。

 ここもまた、どこまでも続く場所のようだった。

 なんとなく、そう感じさせるほどの空がそこにはあった。

 どこまでも澄み切った空。

 心が吸い込まれそうになる錯覚を感じながら、私は食い入るように空を眺める。

 つい息をするのも忘れて、見入る。

 10秒 … 15秒 … 20秒 … 
苦しいのも忘れてしまう。風のそよぐ音が聞こえる。

 30秒 … 40秒 … 50秒 … 
はっと息が漏れる音。草と草が、風で揺れる。

 1分 … 2分 … 3分 …
ゆっくり、深い息の音。風で揺れた草が、私の足をこしょぐる。

 5分 … 10分 … 15分 …
呼吸に合わせるように、ゆっくりと、しっかりしたリズムを刻む心臓の音。雲が形を変えながら流れてゆく。
 
 時を忘れて、立ち尽くしている。不思議と、疲れを感じない。

 あぁ、そうなのかな。私はこの空に、この草原に、この広大な空間に心を奪われているんだ。

 今この時は、永遠と呼べるほどの長さの時と、一瞬といって過言ではない短さの時が支配している。

 永遠の時の中で私は立っていて、そして刹那の時の中で私は立っていて…。

 人から言わせればそれは矛盾しているけど、でも私の中では矛盾していなくて───やっぱりここは、不思議な空間だと思う。

 時の流れとか、風の流れとか、ほかにも心の流れとか、たくさんの流れがここに集まって、混ざって、分かれて、また混ざっている感じ。

 落ち着かないけど落ち着くっていうか、ほっとするって言うか───なんていうのかな。

 懐かしいって言う言葉が一番しっくり来るかもしれない。

 まぁ簡単に要約すると、つまり───よく分からない空間ってこと。

 どこまでも透き通った空と、どこまでも続く草原。私以外の誰もいない空間。

 そう、私以外の誰もいないはずの空間────なのに、私はぽんと肩を叩かれた気がした。

 視線を空から、草原から離して、ふっと振り返る。

 でも、そこには誰もいなくて、周りを一周見回してみてもやっぱりだもいなくて、困ったような、戸惑っているような、そんな表情になる。

 なんのきなしに小首を傾げてみる。

 その仕草で視界が少し傾いて、その傾きと一緒に肩に掛かっていた髪も揺れて、肩から落ちる。

 落ちて、背中側へとおろしていた髪に混ざって揺れる。

 風が、ゆっくりと吹き付ける。

 服がたなびいて、髪が舞った。ぱたぱたと、音がする。

 目を閉じて、耳を澄ます。

 それだけでまた別の世界に着たような錯覚。

 深呼吸を1回、2回。そっと腕をクロスさせて、肩へ。

「────。」

 そっと声に出したおまじない。ずっと、ずっと小さい頃教えてもらったもの。

 そのおまじないを口にするだけで、心が落ち着く。

 おまじないをする時、目を閉じて、手を肩に回して、自分を抱きしめる格好で、あの言葉を呟く。

 そうしてそのポーズのまま、10秒、20秒。

 そうしている間、私は一人でも、独りじゃなかった。

「よお、お前こんなところでなにやってんだ?」

 びくっと身体が硬くなるのと同時に、目が開く。

 また、あの景色が見えた。

 恐る恐る振り返ると、そこには男が立っていた。
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by kioku-tobira | 2006-07-01 00:16 | 第一章 私は目覚める
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