ブログ小説 ーユメコイー

第一章 私は目覚める  -6-

 そこには安心させるものがあった。

 手を伸ばせばすぐ届く、そんなところにあった。

 手を伸ばしてみた。

 身体が重くて、想うように動かない。

 少し、イラっとした。

 言うことを聞かない身体が邪魔だと思った。

 そんな気持ちを抑えて、手を動かし続ける。

 指先が『それ』に触れた。

「────っ」

 感触が予想以上で、声にならない声が上がる。

 コクンとのどを鳴らして、つついてみた。

 見た目通り柔らかくて、ぷにってへこむんだけど指を離すと元の形に戻る。

 『それ』は暖かかった。

 なんだか触っていると安心できて、癖になる。

 反対側の手も動かして『それ』に触る。

 つまんでみる。

 引っ張ってみる。

 ぐるぐる円を書いてみる。

 とにかく、色々やってみた。

 そしたらなんか楽しくなってきて、口元が緩む。

 私は笑っていた。

 ちょっと、悪戯っぽい微笑。

「ん・・・・」

 身体がすぐに反応して、部屋から私の姿が消える。

 声を発してから目覚めるまでに10秒。

 視界の端で何かが動いたのが見えた。

 意識が覚醒するまでに20秒。

 風が顔にそっとあたる。

 状況を理解するのにさらに10秒。

 いつもと同じで、でも少し違う光景が視界に広がる。

 俺は微笑んで、ベッドの下に声を掛けた。

「おはようございます、眠り姫」

 手を差し伸べて、そう言った。





 声が聞こえた。

 寝息に喉の震えをのせたような、そんな声。

 身体が硬直して、動きが止まる。

 微笑が消えて、顔に警戒の色が浮かぶ。

 ここで1秒。

 すばやく手を引っ込めて、周囲と身体の状況を確認する。

 これで3秒。

 ベッドから抜け、何故かシーツのしわを直す。

 服の乱れもちょいちょいと直していく。

 それで5秒。

 ベッドの下に隠れる。

 それで1秒。

 気配を押し殺して、息を潜める。

 髪の乱れに気づいて直していると、目の前に手が出てきて柔らかな声が降る。

「おはようございます、眠り姫」

 その声は優しげな音を含んでいて、一気に私の警戒を解いてしまった。
[PR]
by kioku-tobira | 2006-08-15 15:51 | 第一章 私は目覚める
私は目覚める  -5- >>



何をするにもまったりな管理人が描く、よく分からない小説です(。・ω・。)ぅぷぷ
カテゴリ
全体
管理人からお知らせ
序章 私は失った。
第一章 私は目覚める
未分類
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
ブログ小説  -片翼の双天-  管理人のもう一つのブログ小説デス

☆今まで と これから☆ 管理人の日常を綴った日記デス

VAGRANCY(音楽素材デス)

最新のトラックバック
gwmjgij1
from gwmjgij1
恋愛を成功させるおまじな..
from 【おまじない・お守りくらぶ】..
新作の時計やブランド時計..
from 時計カテゴリー:ファッション..
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧