ブログ小説 ーユメコイー
2006-08-15T15:51:04+09:00
kioku-tobira
何をするにもまったりな管理人が描く、よく分からない小説です(。・ω・。)ぅぷぷ
Excite Blog
第一章 私は目覚める -6-
http://yumekakera.exblog.jp/3080098/
2006-08-15T15:51:04+09:00
2006-08-15T15:51:04+09:00
2006-08-15T15:51:04+09:00
kioku-tobira
第一章 私は目覚める
手を伸ばせばすぐ届く、そんなところにあった。
手を伸ばしてみた。
身体が重くて、想うように動かない。
少し、イラっとした。
言うことを聞かない身体が邪魔だと思った。
そんな気持ちを抑えて、手を動かし続ける。
指先が『それ』に触れた。
「────っ」
感触が予想以上で、声にならない声が上がる。
コクンとのどを鳴らして、つついてみた。
見た目通り柔らかくて、ぷにってへこむんだけど指を離すと元の形に戻る。
『それ』は暖かかった。
なんだか触っていると安心できて、癖になる。
反対側の手も動かして『それ』に触る。
つまんでみる。
引っ張ってみる。
ぐるぐる円を書いてみる。
とにかく、色々やってみた。
そしたらなんか楽しくなってきて、口元が緩む。
私は笑っていた。
ちょっと、悪戯っぽい微笑。
「ん・・・・」
身体がすぐに反応して、部屋から私の姿が消える。
声を発してから目覚めるまでに10秒。
視界の端で何かが動いたのが見えた。
意識が覚醒するまでに20秒。
風が顔にそっとあたる。
状況を理解するのにさらに10秒。
いつもと同じで、でも少し違う光景が視界に広がる。
俺は微笑んで、ベッドの下に声を掛けた。
「おはようございます、眠り姫」
手を差し伸べて、そう言った。
声が聞こえた。
寝息に喉の震えをのせたような、そんな声。
身体が硬直して、動きが止まる。
微笑が消えて、顔に警戒の色が浮かぶ。
ここで1秒。
すばやく手を引っ込めて、周囲と身体の状況を確認する。
これで3秒。
ベッドから抜け、何故かシーツのしわを直す。
服の乱れもちょいちょいと直していく。
それで5秒。
ベッドの下に隠れる。
それで1秒。
気配を押し殺して、息を潜める。
髪の乱れに気づいて直していると、目の前に手が出てきて柔らかな声が降る。
「おはようございます、眠り姫」
その声は優しげな音を含んでいて、一気に私の警戒を解いてしまった。
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私は目覚める -5-
http://yumekakera.exblog.jp/2895079/
2006-07-25T03:28:00+09:00
2006-07-25T03:30:50+09:00
2006-07-25T03:28:09+09:00
kioku-tobira
第一章 私は目覚める
2月30日
彼女はいまだ眠り続けている。
Sleeping Beauty 眠り姫
俺は彼女をそう呼ぶことにした。
────。
男はいつの間にか、喋りかけるのを諦めたようだった。
ざっ、と言う音が鳴った。
男はそこに腰を下ろして、空を見上げていた。
私と同じように、空に吸い込まれるように────。
私もまた、空へと意識を戻す。
空は変わらず、ゆっくりと雲が流れる。
太陽は、時折雲間に隠れてはまた、顔を出す。
時がゆっくりと流れる。
3月4日
買い物から帰ると、部屋から声が聞こえた。
部屋を一通り眺めてみたが特に人らしき影は見当たらない。
まさかと思い駆け寄ると、期待通りだった。
目の当たりにした時、胸が高鳴った。
眠り姫がついに目を覚ました。
まだ声が上手く出なかったらしい。
眠り続けていたせいだろうか?
彼女はすぐにまた眠ってしまったけれど、今までと明らかに違う点がある。
寝返りを打つようになったようで、時折衣擦れの音が聞こえてくるようになった。
眠り姫がもうすぐ目を覚ます。
早くその日がくるといい。
本当に心からそう思う1日だった。
────。
どれくらいの時が経ったのか、男のごそごそと動く物音で意識が覚醒しだす。
何かを喋ろうとして、躊躇って、口を閉ざす。
「なぁ、お前は・・・・」
ふと、声を掛けてきた。
戸惑いと躊躇いからか、遠慮がちな声。
不思議と、さっきみたいに過剰な反応はしなかった。
ゆっくりと空から視線をはずして、男の顔を見る。
振り返りざま、髪がふわっと舞う。
風が優しく吹いて、二人の間を駆け抜ける。
髪を纏めながら、男をじっと見つめる。
「あ~・・・いや、その~・・・」
頭を掻いて、迷いながら聞いてくる。
「聞いても・・・いいかな?」
「・・・・・なに?」
「───空って、何でこんなに広いんだろうな。・・・あ~、いや、特に意味は無いんだけどな。その、なんて言うのかな────」
何故か焦ったように言い訳をはじめている男を、私はじっと見る。
(この人は何が言いたいのかな?)
なんだか焦っている様子をじっと見ていると、頬の筋肉が緩んでいく。
それがどんな表情を作っているのかよく分からないけど、なんとなく顔を前に向ける。
男からは顔が見えない位置にする。
(人には───見せたくないなぁ・・・・)
気持ちを誤魔化すように、悟られないように、空を見上げる事にした。
風が吹き、服がたなびいてぱたぱたと音が聞こえる。
草のすれあう音。
呼吸の音と、鼓動の音。
耳に入ってくる全ての音が、優しさに溢れている感じ。
「なぁ・・・」
声が耳に届いただけで、身体が大げさなほどに反応した。
なにか、その先の言葉を拒否するように。
「──────っ」
身体が僅かに震えだして、歯がカチカチとなる音が聞こえる。
「─────・・・・。」
声が最後まで聞こえなかった。
否、聞こえなかったと思い込もうとした。
その言葉は私の心に重くのしかかってきて。
その言葉を忘れ去ろうとして、私の意識は遠のく。
────────。
そうして私は、再び目覚める。
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私は目覚める -4-
http://yumekakera.exblog.jp/2879713/
2006-07-23T17:20:00+09:00
2006-07-23T17:25:01+09:00
2006-07-23T17:20:50+09:00
kioku-tobira
第一章 私は目覚める
2月26日
今日も、何事も無く過ぎていくようだ。
何事も無く・・・
彼女をベッドに寝かせて、丸1日がたった。
しかし、彼女は目覚めない。
目覚める気配が、一向に感じられないのだ。
呼吸はしている。
脈拍も、多少弱いが安定している。
いつ目覚めても、おかしくは無い状態のはず。
彼女は一体、いつ目覚めるんだろうか?
────。
「・・・・。」
驚きに目を見開いて、声が出ない。
否、声が出ないわけではない。
出せる、しかし・・・・
男の質問に答えないまま、時間だけが流れていく。
私は、理解していた。
理解していたはずだった。
ここを、この空間のことを。
だからこそ驚きに目を見開き、不安感が押し寄せる。
好奇心を掻き立てられ、そして恐怖さえも感じる。
私が声を出さない間も、男は何かを喋っている。
驚きが強すぎて、男が何を言っているのか、理解できない。
沢山の感情が一度に作用しすぎて、どんな感情で今の私がいるのか
分からない。
否、ただ単に「分からない」ではないだろう。
そう、表現できる言葉が見つからない。
その状態であることが私のイライラを募らさせるばかりで───。
男は、何かを喋り続ける。
喋り始めるタイミングで、私の身体はぴくっと反応する。
それは、イライラしているせいなのか全然分からなくて───。
定まらない焦点で空を見上げて、ただ私は黙っているだけで・・・。
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私は目覚める -3-
http://yumekakera.exblog.jp/2671513/
2006-07-01T00:16:00+09:00
2006-07-25T03:34:33+09:00
2006-07-01T00:11:46+09:00
kioku-tobira
第一章 私は目覚める
2月25日
散策中、不思議な少女を発見した。
彼女は、森深くに倒れていた。
彼女の身を包んでいた薄手の青白い服。
上から下までつながっていて、ワンピースのような形状だった。
年齢12~15歳
身長約130cm
比較的痩せ型で、髪は腰あたりまで伸ばしている。
外傷は特に無し。
ただし、あちこちに打ち身や打撲らしき跡がついている。
脈拍は正常値より多少下回っているものの、問題というレベルではないだろう。
簡単な診察をしてみた結果としては、特に異常も見られない。
行き倒れかどうかとも思ったが、そう決めるのはまだ早計だろう。
しばらくは、様子見が必要そうだ。
なぜ倒れていたのか、色々と不思議な点がいくつかあるが、どれも彼女が目覚めなければ分
からないことだ。
彼女が目覚めたら、聞いてみる必要がある。
────。
息を呑む音が聞こえた。
身体中が優しい光に包まれているのが分かる。
目を、そっと開ける。
飛び込む空、果ての見えない草の絨毯、空のあちらこちらに浮かぶ雲。
「───っ。」
また、息を呑む。
ここもまた、どこまでも続く場所のようだった。
なんとなく、そう感じさせるほどの空がそこにはあった。
どこまでも澄み切った空。
心が吸い込まれそうになる錯覚を感じながら、私は食い入るように空を眺める。
つい息をするのも忘れて、見入る。
10秒 … 15秒 … 20秒 …
苦しいのも忘れてしまう。風のそよぐ音が聞こえる。
30秒 … 40秒 … 50秒 …
はっと息が漏れる音。草と草が、風で揺れる。
1分 … 2分 … 3分 …
ゆっくり、深い息の音。風で揺れた草が、私の足をこしょぐる。
5分 … 10分 … 15分 …
呼吸に合わせるように、ゆっくりと、しっかりしたリズムを刻む心臓の音。雲が形を変えながら流れてゆく。
時を忘れて、立ち尽くしている。不思議と、疲れを感じない。
あぁ、そうなのかな。私はこの空に、この草原に、この広大な空間に心を奪われているんだ。
今この時は、永遠と呼べるほどの長さの時と、一瞬といって過言ではない短さの時が支配している。
永遠の時の中で私は立っていて、そして刹那の時の中で私は立っていて…。
人から言わせればそれは矛盾しているけど、でも私の中では矛盾していなくて───やっぱりここは、不思議な空間だと思う。
時の流れとか、風の流れとか、ほかにも心の流れとか、たくさんの流れがここに集まって、混ざって、分かれて、また混ざっている感じ。
落ち着かないけど落ち着くっていうか、ほっとするって言うか───なんていうのかな。
懐かしいって言う言葉が一番しっくり来るかもしれない。
まぁ簡単に要約すると、つまり───よく分からない空間ってこと。
どこまでも透き通った空と、どこまでも続く草原。私以外の誰もいない空間。
そう、私以外の誰もいないはずの空間────なのに、私はぽんと肩を叩かれた気がした。
視線を空から、草原から離して、ふっと振り返る。
でも、そこには誰もいなくて、周りを一周見回してみてもやっぱりだもいなくて、困ったような、戸惑っているような、そんな表情になる。
なんのきなしに小首を傾げてみる。
その仕草で視界が少し傾いて、その傾きと一緒に肩に掛かっていた髪も揺れて、肩から落ちる。
落ちて、背中側へとおろしていた髪に混ざって揺れる。
風が、ゆっくりと吹き付ける。
服がたなびいて、髪が舞った。ぱたぱたと、音がする。
目を閉じて、耳を澄ます。
それだけでまた別の世界に着たような錯覚。
深呼吸を1回、2回。そっと腕をクロスさせて、肩へ。
「────。」
そっと声に出したおまじない。ずっと、ずっと小さい頃教えてもらったもの。
そのおまじないを口にするだけで、心が落ち着く。
おまじないをする時、目を閉じて、手を肩に回して、自分を抱きしめる格好で、あの言葉を呟く。
そうしてそのポーズのまま、10秒、20秒。
そうしている間、私は一人でも、独りじゃなかった。
「よお、お前こんなところでなにやってんだ?」
びくっと身体が硬くなるのと同時に、目が開く。
また、あの景色が見えた。
恐る恐る振り返ると、そこには男が立っていた。
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私は目覚める -2-
http://yumekakera.exblog.jp/2552913/
2006-06-18T23:24:00+09:00
2006-06-23T20:46:06+09:00
2006-06-18T23:24:59+09:00
kioku-tobira
第一章 私は目覚める
人の良さそうな微笑を浮かべている。
看護師・・・?
ベッドが3つ?
腕、こんなに細かったっけ?
身体が重い
なに?
誰だ?
木・・・、山小屋?
これは・・・
意識が渦巻く。
最悪の目覚めから来るものもあって、まるで頭が働かない。
疑問は混乱を呼ぶばかりだ。
「───気分はどうですか?」
男の人が心配そうな顔で覗き込んでくる。
私はよほど難しい顔でもしていたのか、と内心苦笑する。
ひとまず口を開いてみる。
ぎこちない動きと共に、ゆっくりと口が開いた。
喉を震わせ、風を送り、声を絞るように出す、はずだった。
「あぁ・・・ぅ・・・」
出てきたのは赤ちゃんのような声。
そんな声に驚き、口を慌ててつぐむ。
どの動作をとっても動きがまだ硬く、いまだに思うように動かなかった。
「あぁ、無理に喋らなくても良いですよ。」
柔らかい声だな、と思う。
人を安心させる優しさが、その発せられる言葉の一つ一つから届く。
「貴女はまだ寝ていたほうが良いようですね。」
届くが、内容は理解できなかった。
やはりというか、まだ頭は眠っているようだ。
「心身共に完全には目覚めていないようですし。」
自然な動きで瞼が下りてくる。
目を閉じ、擬似的な闇が形成され、意識が沈む。
「─────。」
誰かが何か言ったような気がしたけれど、何も聞こえなかった。
私は深い眠りに落ちていた。
声が聞こえた。
私を呼ぶ声。
私が呼ぶ声。
いたるところで声は響いて、身体に浸透してくる。
なんだか、心地いい。
漂うように、音に身体を預ける。
身体はなんともいえない浮遊感の中で、どこまでも広がっていくように感じて、
それと同時に、感覚が鋭くなってくる。
暗く、昏く、どこまでも広く、どこまでも深く。
『ここ』は広かった。
とてつもなく、広かった。
私の意識はとんでもなく広がっているのに、それでも尚、果ては見えない。
音は水となり私を潤し、
音は光となり私を照らし、
音は風となり私に吹きつけ、
音は大地となり私の存在を確固たるモノとする。
音はこの世界の全て。
なのに・・・
声はいつの間にか響きを止めて、弱々しく、たどたどしく、
ある一点からだけ聞こえてくる。
私は、声に惹かれるようにそこへ飛び始める。
いや、『飛び始める』というのは少し違った感じ。
意識を向けると言った方が適切かもしれない。
そして、声に近づく。
近づいて、そして手を差し伸べ────・・・
そうして私は、また目覚める。]]>
第一章 私は目覚める -1-
http://yumekakera.exblog.jp/1746962/
2006-04-13T01:19:00+09:00
2006-04-13T01:46:45+09:00
2006-04-13T01:19:26+09:00
kioku-tobira
第一章 私は目覚める
別に、妙な力や心理に目覚めたわけではない。
朝の眠りから覚めるように、目覚めたのだ。
ただ、気分爽快というものには程遠い。
はっきり言えば対極にあたる、最悪な目覚めだった。
身体が硬い。
動かそうとすると崩れてしまう石像のように、全身が硬い。
ゆっくり、しかし出来るだけ早く、感覚を全身に張り巡らす。
心を張りつめ、
少しずつ感覚が戻ってくる。
身体がほぐれるように硬さが消え、少しずつ柔らかくなっていくのが分かる。
それと同時に、音が聞こえ始める。
鳥の鳴き声、風の音、木々のざわめき、そして火のはぜる音。
それらの音を聞き、ゆっくり、息を吐きながら瞼を開ける。
瞼が開く。
光が飛び込んできて、うっ、と声が漏れる。
少しの間、光で視界が一杯になる。
眩しい。
そう感じてまた瞼を閉じた。
今度はぎゅっと、強く。
瞼を閉じていても人間と言うのは光を感知できる。
瞼を閉じた事による擬似的な闇の中に、強烈な光を感じながらそんな事が
ふと頭によぎった。
時計の針の音が聞こえる。
聞こえる音はカチッ、カチッとリズム良く時を刻んでいる時計の音だけ。
他には何も聞こえず、誰もいないようだった。
強烈すぎると感じた光も今は暖かな温もりの提供者になっている。
ゆっくりと目を開ける。
さっきと同じように、強い光が瞳の中に飛び込んでくる。
だがさっきとは少し違い、そこまできついものではなかった。
眩しさの中から、光以外のものが段々と浮かんでくる。
目に入ってくるのは、木で作られた天井。
そして吊り下げられた、ランプ。
ここは、どこだろうか。
起き上がろうとしたが、身体が重い。
仕方なく、目だけで状況の確認をする。
視線を周りに向ける。
さっき確認した天井、それと壁、床、それら全てが木で出来ているらしい。
自分の寝ているベッドは、白一色。
一見してふかふかで、とても寝心地が良さそうなベッドだ。
寝心地は良さそうだけれど、この身体はまるで床で直に寝たような
そんな違和感がある。
そしてこのベッドを挟むように、左右に同じタイプのべッドが置かれている。
が、今はどちらも空だ。
身体の節々が未だに硬くて、重たい。
ゆっくりと腕を持ち上げてみる。
どうやら自分の腕らしいそれは、か細く、色白い。
その頼りなさそうな腕の先に、小さな手が見える。
ぐっ、と握ってみる。
しかし握れない。
目に映るのは、小刻みに震えながら
それでもなんとか指を動かそうとする、小さな手。
何度か試していると、初めは握る事すらままならなかった手は
次第にしっかりとした動きへと変わり、力を込めて握れるようになった。
目を見張るその動きの変化に、多少の驚きと戸惑いが生まれる。
「目を覚まされましたか?」
急に掛かる声に、ピクッ、と身体が反応する。
持ち上げていた手が、そこで止まる。
声のした方にゆっくりと顔を向けると、男の人が一人
こちらを覗き込むようにして見ていた。
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序章 私は失った。
http://yumekakera.exblog.jp/1072002/
2006-03-05T00:16:07+09:00
2006-03-05T11:59:15+09:00
2006-03-05T00:16:07+09:00
kioku-tobira
序章 私は失った。
それが何だったのかさえ、思い出せない。
大切なものだったのだろう。
失ったと自覚できるほどに、喪失感は果てしなく深く、大きい。
いや、“深い”や“大きい”と言う表現には語弊があるかもしれない。
なぜなら、失ったものが何であるか分からないからだ。
何であるか分からないのに、深いもないだろう。
そう。
私は分からない。
何も、何も分からなくなっている。
自分の名前から何から、全て。
大切に思った物・人。
それは、あったのだろうか?
過去の記憶。
それは、あったのだろうか?
何も分からない。
───。
根本的なことを、考えてみよう。
そもそも私は、存在していたのか?
もし仮に存在していたとして、人だったのだろうか?
────。
考えたところでそんなこと分かるはずもないよな、などと思い苦笑する。
そういえば、ここはどこだろうか。
今まさに気付き、周りを見回す。
何も見えない。
否、“何も無い”だ。
どこを見ても、闇。
自分の身体すら認識できないほどに、その闇は濃い。
もう一度、周りを見回す。
『あれは、なんだ』
さっきまで無かった光が見える。
意識を“それ”に向けると、“それ”は段々寄ってきた。
“それ”は初め光の球の形をしていた。
“それ”が近づいてくると、門の形をしていることが分かった。
そしてその門のすぐ傍に、“誰か”が立っている。
“誰か”はこちらに気付くと、門を開けた。
さあ、来いよ。と言わんばかりに、手招きをしてくる。
それにつられるように、私の意識はどんどん門に近づく。
そして、私は一瞬の躊躇の後、迷わず飛び込んだ。
門の中へと───。
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管理人あいさつ
http://yumekakera.exblog.jp/1071868/
2006-03-05T00:09:21+09:00
2006-03-05T12:34:18+09:00
2006-03-05T00:09:21+09:00
kioku-tobira
管理人からお知らせ
当ブログ管理人のゆうと申します。
このブログでは
不定期更新ですが、まったりと小説(管理人のただの趣味デス)の連載をしていこうと思います
ので、どうぞよろしくお願いいたします。
感想、意見等ありましたらコメントを頂けるとうれしいです^^
それでは、ブログ小説 -ユメコイ- をお楽しみください^^]]>
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