ブログ小説 ーユメコイー

カテゴリ:第一章 私は目覚める( 6 )

第一章 私は目覚める  -6-

 そこには安心させるものがあった。

 手を伸ばせばすぐ届く、そんなところにあった。

 手を伸ばしてみた。

 身体が重くて、想うように動かない。

 少し、イラっとした。

 言うことを聞かない身体が邪魔だと思った。

 そんな気持ちを抑えて、手を動かし続ける。

 指先が『それ』に触れた。

「────っ」

 感触が予想以上で、声にならない声が上がる。

 コクンとのどを鳴らして、つついてみた。

 見た目通り柔らかくて、ぷにってへこむんだけど指を離すと元の形に戻る。

 『それ』は暖かかった。

 なんだか触っていると安心できて、癖になる。

 反対側の手も動かして『それ』に触る。

 つまんでみる。

 引っ張ってみる。

 ぐるぐる円を書いてみる。

 とにかく、色々やってみた。

 そしたらなんか楽しくなってきて、口元が緩む。

 私は笑っていた。

 ちょっと、悪戯っぽい微笑。

「ん・・・・」

 身体がすぐに反応して、部屋から私の姿が消える。

 声を発してから目覚めるまでに10秒。

 視界の端で何かが動いたのが見えた。

 意識が覚醒するまでに20秒。

 風が顔にそっとあたる。

 状況を理解するのにさらに10秒。

 いつもと同じで、でも少し違う光景が視界に広がる。

 俺は微笑んで、ベッドの下に声を掛けた。

「おはようございます、眠り姫」

 手を差し伸べて、そう言った。

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by kioku-tobira | 2006-08-15 15:51 | 第一章 私は目覚める

私は目覚める  -5-


  2月30日
 彼女はいまだ眠り続けている。

 Sleeping Beauty  眠り姫

 俺は彼女をそう呼ぶことにした。
 
 


 ────。




 男はいつの間にか、喋りかけるのを諦めたようだった。

 ざっ、と言う音が鳴った。

 男はそこに腰を下ろして、空を見上げていた。

 私と同じように、空に吸い込まれるように────。

 私もまた、空へと意識を戻す。

 空は変わらず、ゆっくりと雲が流れる。

 太陽は、時折雲間に隠れてはまた、顔を出す。

 時がゆっくりと流れる。

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by kioku-tobira | 2006-07-25 03:28 | 第一章 私は目覚める

私は目覚める  -4-


  2月26日
 今日も、何事も無く過ぎていくようだ。

 何事も無く・・・


 
 彼女をベッドに寝かせて、丸1日がたった。

 しかし、彼女は目覚めない。

 目覚める気配が、一向に感じられないのだ。

 呼吸はしている。

 脈拍も、多少弱いが安定している。

 いつ目覚めても、おかしくは無い状態のはず。

 彼女は一体、いつ目覚めるんだろうか?




────。

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by kioku-tobira | 2006-07-23 17:20 | 第一章 私は目覚める

私は目覚める  -3-


  2月25日
 散策中、不思議な少女を発見した。

 彼女は、森深くに倒れていた。 

 彼女の身を包んでいた薄手の青白い服。

 上から下までつながっていて、ワンピースのような形状だった。
 
 年齢12~15歳

 身長約130cm

 比較的痩せ型で、髪は腰あたりまで伸ばしている。

 外傷は特に無し。

 ただし、あちこちに打ち身や打撲らしき跡がついている。

 脈拍は正常値より多少下回っているものの、問題というレベルではないだろう。

 簡単な診察をしてみた結果としては、特に異常も見られない。

 行き倒れかどうかとも思ったが、そう決めるのはまだ早計だろう。

 しばらくは、様子見が必要そうだ。

 なぜ倒れていたのか、色々と不思議な点がいくつかあるが、どれも彼女が目覚めなければ分
からないことだ。

 彼女が目覚めたら、聞いてみる必要がある。




────。

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by kioku-tobira | 2006-07-01 00:16 | 第一章 私は目覚める

私は目覚める  -2-


人の良さそうな微笑を浮かべている。

看護師・・・?

ベッドが3つ?

腕、こんなに細かったっけ?

身体が重い

なに?

誰だ?

木・・・、山小屋?

これは・・・

意識が渦巻く。

最悪の目覚めから来るものもあって、まるで頭が働かない。

疑問は混乱を呼ぶばかりだ。

「───気分はどうですか?」

男の人が心配そうな顔で覗き込んでくる。

私はよほど難しい顔でもしていたのか、と内心苦笑する。

ひとまず口を開いてみる。

ぎこちない動きと共に、ゆっくりと口が開いた。

喉を震わせ、風を送り、声を絞るように出す、はずだった。

「あぁ・・・ぅ・・・」

出てきたのは赤ちゃんのような声。

そんな声に驚き、口を慌ててつぐむ。

どの動作をとっても動きがまだ硬く、いまだに思うように動かなかった。

「あぁ、無理に喋らなくても良いですよ。」

柔らかい声だな、と思う。

人を安心させる優しさが、その発せられる言葉の一つ一つから届く。

「貴女はまだ寝ていたほうが良いようですね。」

届くが、内容は理解できなかった。

やはりというか、まだ頭は眠っているようだ。

「心身共に完全には目覚めていないようですし。」

自然な動きで瞼が下りてくる。

目を閉じ、擬似的な闇が形成され、意識が沈む。

「─────。」

誰かが何か言ったような気がしたけれど、何も聞こえなかった。

私は深い眠りに落ちていた。

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by kioku-tobira | 2006-06-18 23:24 | 第一章 私は目覚める

第一章 私は目覚める  -1-

 私は目覚める。

 別に、妙な力や心理に目覚めたわけではない。

 朝の眠りから覚めるように、目覚めたのだ。

 ただ、気分爽快というものには程遠い。

 はっきり言えば対極にあたる、最悪な目覚めだった。

 身体が硬い。

 動かそうとすると崩れてしまう石像のように、全身が硬い。

 ゆっくり、しかし出来るだけ早く、感覚を全身に張り巡らす。

 心を張りつめ、

 少しずつ感覚が戻ってくる。



 身体がほぐれるように硬さが消え、少しずつ柔らかくなっていくのが分かる。

 それと同時に、音が聞こえ始める。

 鳥の鳴き声、風の音、木々のざわめき、そして火のはぜる音。

 それらの音を聞き、ゆっくり、息を吐きながら瞼を開ける。

 瞼が開く。

 光が飛び込んできて、うっ、と声が漏れる。

 少しの間、光で視界が一杯になる。

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by kioku-tobira | 2006-04-13 01:19 | 第一章 私は目覚める



何をするにもまったりな管理人が描く、よく分からない小説です(。・ω・。)ぅぷぷ
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